2015年3月31日火曜日

旬探訪 越後のごっつぉ 〈 長岡の醤油おこわ 〉

 醤油おこわ?新潟県長岡市周辺の限られた地域で見かける独特の赤飯です。
かつては慶弔に欠かせない料理として、最近はより日常的な食として
長岡の人にとっては慣れ親しんだ郷土料理です。

 「醤油おこわ」、「醤油赤飯」などの呼び方がありますが、
一般的な塩味の赤飯とは異なり、名前のとおり醤油を使って
味つけされたおこわです。
一般的な赤飯に使われる豆は小豆やささげを使い、
煮汁を使って赤く色づけしますが、醤油おこわは、
金時豆を使うため、赤みをおびません。
味つけには醤油やみりん、だしを蒸しの途中にくわえて混ぜ合わせ、
さらに蒸すので醤油の色がつきます。

 ルーツは、はっきりとしておらず、
殿様から醤油や味噌を造る許可を得た元力士が、
店の前にあった寺に醤油を譲ったところ、
その寺が醤油で味付けした米を信徒に提供したのが始まりと
明治時代の文献に書かれているそうです。
由来はともあれ、醤油おこわは長岡の人々に定着し、
祝い事や法事など人の集まる時に作られる家庭の味となりました。

 長岡で広く食べられている醤油おこわですが、
調味料の配分など実は家庭ごとにレシピが違うのも特長のひとつで、
入園入学の多い春や祭り、はたまた帰省客が増える盆正月はよくお目にかかります。
また、スーパーの総菜コーナーでも日常的に販売されています。
一般的な赤飯とは色も味も異なりますが、
祝い事と結びついている点は変わりません。

地域を代表する食文化のひとつです。

2015年3月5日木曜日

旬探訪 越後のごっつぉ 〈城之古菜(たてのこしな)〉

新潟県中越地方の雪深い十日町市には、風土に根付いた
伝統野菜「城之古菜」があります。
城之古は十日町市の信濃川沿いの地域で「たてのこし」と読みます。

 「城之古菜」は1911年前後に城之古地区で魚沼地方の
大崎菜の種を分けてもらい栽培を始めたことが起源といわれています。
この地域は日本屈指の豪雪地域で冬場に青ものの野菜がなかった時代に、
農家の収入源を模索して取り組み。
春一番に収穫される「城之古菜」は非常に珍重されたと伝えられています。

 現在でも十日町市では、ほうれん草や小松菜と並んで地域を代表する
葉物野菜として食卓に上がっています。
近年では、ハウス栽培により安定生産が可能となり、
12月下旬から4月下旬まで栽培されています。
県内のスーパーや生協、コンビニをはじめ、地産池消に取り組む
学校給食にも出荷しています。

 「城之古菜」は、100年以上前から栽培されている伝統野菜ですが、
甘みとほのかな苦みの絶妙なバランスで地元から愛され続けています。
現在は、城之古菜生産組合でハウス栽培されています。
特に3月から出荷される「城之古菜」は、つぼみがつくことで
香りが高く一層甘さが増します。
鮮やかな緑色で食卓を彩る貴重なビタミン源で、
おひたし、一夜漬け、サラダなどで美味しく食べられます。
また、地産池消、食育の一環として学校給食に「城之古菜」を使ったメニューが
取り入れられており、地域で大切に守り継がれています。